手の痛み – よくご相談いただく症状
手について
手は物をつかむ、移動する、曲げるなどの力仕事を行ったり、文字や絵をかく、手話をするなどの表現動作を行ったり、非常に繊細な運動をする特殊な器官です。手には神経・血管などが非常に複雑に入り組んでいます。整形外科では手の外傷や変形、神経障害などを主に扱います。
代表的疾患
橈骨遠位端骨折
転倒し、手をついて痛み・腫れが出た場合、この骨折が疑われます。頻度の高い骨折の一つで、特に中年以降の骨粗鬆症がある人に多く発生します。診断にはレントゲン撮影が必要で、詳しく形態を評価するため、CT などを追加することがあります。骨折のずれは手を引っ張ったり、押し込んだりして元の形近くに戻し(整復)、ギプスで固定します。安定している場合はそのまま治療しますが、骨折部のずれが大きい場合、粉砕が強い場合、整復してもすぐずれてしまうような場合は手術を行います。
ばね指(腱鞘炎)
指は腱によって曲げ伸ばしをすることができます。屈筋腱には腱の浮き上がりを押さえる靭帯性腱鞘というトンネルがあります。腱鞘炎は、屈筋腱と靭帯性腱鞘との間で指の付け根に痛みや腫れが生じた状態です。進行するとばね現象(弾発)が生じ、これをばね指と呼びます。指の付け根の部分がかたくなり、指を強く曲げた後に伸ばすのが困難で無理にのばすと「カクッ」とした感じとともにようやく指が伸びるのが特徴です。この際に痛みを伴うことが多く、次第に伸びにくくなってきます。指をよく使う中高年に多くおこります。消炎鎮痛剤の外用薬や注射などで治ることも多いですが、弾発症状がでてくると手術を行った方が早く治ることが多いようです。局所麻酔で腱鞘を切開する手術が行われます。
手根管症候群
示指、中指を中心にしびれ、痛みが出現し、環指、母指に及ぶこともあります。症状は明け方に強くなり、手を振ることで楽になります。徐々にしびれが強くなると、次第に指先で小さなものをつまむなどの細かい作業が困難になります。さらに進行すると親指の付け根の膨らみ(母指球)が萎んできて手のひらの形がおかしくなります。てのひらに向かう正中神経が手首で圧迫されることが原因で、中年以降に多く起こります。初期の段階では装具や注射による治療も可能ですが、母指球の変形が生じると手術による手の機能回復が困難になり、早期に手術を行う必要があります。上肢の伝達麻酔や局所麻酔等を用いて手根管を開放する手術が行われます。
母指CM関節症
母指CM関節とは、母指のもっとも付け根にある関節で、手首のすぐ近くにある関節です。使い過ぎや加齢、外傷等でこの関節の軟骨がすり減る(変性)と、親指で何かをつまむなど、母指に力を必要とする動作で痛みを生じたり、握力が減少したりします。進行すると母指が開きにくくなり、関節が亜脱臼するため関節の変形が外見からわかるようになります。痛みが軽度の場合は消炎鎮痛剤の内服や外用剤、関節注射、温熱療法、サポーター装具などの保存療法で対応できます。保存療法の効果がない場合、患者さんの個々の状況に応じてCM関節固定術やCM関節形成術が行われます。
手に関しての疑問・質問等ありましたらお気軽にスタッフにご相談ください。