変形性膝関節症
- 1.変形性膝関節症とは
- 膝関節は大腿骨・脛骨・膝蓋骨で構成され、体重を支えたり歩行したりするのに重要な役割を果たしています。関節の表面は弾力性のある軟骨で覆われ、大腿骨と脛骨の間には半月板と呼ばれるクッションが介在し、これらが衝撃を吸収したり膝を動かすときの摩擦を軽減したりしています。
変形性膝関節症では、加齢などにより軟骨が変性し擦り減って、次第に骨の変形を来たします。削れた軟骨などにより関節を覆う滑膜に炎症が起きると、関節液が多量に分泌され「膝に水が溜まった」状態になります。日本人は膝の内側の軟骨が擦り減るタイプが多く、進行するに従いO脚の程度が進みます。
- 2.検査と診断
- 膝痛で受診した際、まずレントゲンを撮影するのが一般的です。しかしレントゲンには骨しか写らず、軟骨や半月板は写りません。このため骨に変形を来していない初期の場合、レントゲンでは痛みの原因が特定できないことがあります。当院はAI機能を搭載した最新のMRI装置(GE社製1.5T)を導入しており、MRI撮影によって関節軟骨の摩耗の程度や半月板の変性・損傷、骨の中の状態を詳細に把握することが可能です。
- 3.治療法
- 変形性膝関節症の治療法には、保存療法(手術をしない治療法)と手術療法があります。
保存療法では、生活動作や環境の改善、運動療法が基本になりますが、症状に応じて消炎鎮痛剤(内服薬・外用薬)の処方やヒアルロン酸の関節内注射を行います。
また、新しい治療法として再生医療(PRP療法)があります。PRP療法では、患者さんご自身の血液から多血小板血漿を抽出し膝関節に注射します。変形性関節症を根本から治す治療ではありませんが、軟骨の修復や痛みの軽減が得られる可能性があります。*PRP療法は保険外診療です。
保存治療では痛みのコントロールが不十分で日常生活に支障がある場合は手術療法を検討します。
- ①高位脛骨骨切り術
- 日本人は膝内側の変形(O脚)が多いのですが、O脚になると体重のかかる軸が膝の内側に偏り、内側の関節をより負担をかけてしまいます。骨切り術はO脚を矯正して軽いX脚を作ることで、内側にかかっていた体重の軸を外側にずらす手術方法です。人工関節のように関節を取り換える手術ではなく、自分の関節を温存する手術法で、変形が内側に限局し外側の軟骨にまだ強い損傷が起きていない場合、可動域が保たれている場合、スポーツや仕事など活動性が高い場合などが良い適応です。
- ②人工膝関節置換術
- 軟骨が擦り減り変形してしまった膝関節の骨を切除して人工関節に置き換える手術です。膝全体の関節を置換するもの(全置換術)と内側か外側の傷んでいる部分だけ置換するもの(単顆置換術)とがあります。人工関節は金属と超高分子ポリエチレンで出来ており、痛みのない関節を再建します。当院では人工関節手術支援ロボット(ROSA Knee)を導入しており、より正確で精度の高い手術を行っています。
高位脛骨骨切り術
人工膝関節置換術