福岡県小郡市美鈴が丘の整形外科、リハビリテーション

医療法人オアシス 福岡志恩病院

足の痛み – よくご相談いただく症状

足について

 足は体をささえる重要な役割があり、足の機能障害は全身に影響を及ぼします。また足は地面からの衝撃を直接受け続けるため、衝撃吸収がうまく行われる足にすることが重要です。変形のある足、硬い足、柔らかすぎる足では、衝撃吸収がうまくいかず、局所的に負担がかかって胼胝(いわゆるタコ)が形成されることもあり、歩行に支障が生じます。
 足部・足関節(足首)の障害は多岐にわたりますが、通常当院のような整形外科における足の診療では、足部・足関節の慢性疼痛や変形、外傷を中心に扱います。
 手術が絶対に必要な場合を除き、基本的にはじめに保存療法といわれる、いわゆる手術をしない投薬治療やリハビリ治療を行います。保存療法を行っても症状が持続する場合に手術療法を検討します。いずれの障害においても、医師・理学療法士などがカンファレンスで情報共有しながら患者さんの治療の状態・方針に合わせたリハビリテーションを行っています。リハビリや手術の効果を高め、症状を改善するには特にセルフトレーニング・セルフケアが重要となります。また、必要に応じて足底板(インソール)作成や靴の相談等も受け付けています。

代表的疾患

有痛性外脛骨

 外脛骨は舟状骨の内側に存在する副骨(過剰骨)です。外脛骨が小さくて後脛骨筋腱内に存在するものは無症状ですが、舟状骨内側下部に大きく突出し線維軟骨様組織で舟状骨と結合し一体となっている場合に、有痛性外脛骨となり治療の対象となります。症状は内果(内くるぶし)の下が突出し痛みます。
 治療はまず消炎鎮痛剤の内服や外用剤の使用とリハビリ、足底板の装着などの保存療法を行います。局所麻酔薬とステロイドの局所注射が有効な場合もあります。保存療法では改善しない疼痛に対しては外脛骨部の骨をつないだり、外脛骨の部分切除を行って後脛骨筋腱を舟状骨に縫着する手術等を考慮します。

有痛性外脛骨

足関節外側靭帯損傷

 足関節の外側靭帯は、足関節の内返しの捻挫で最も損傷しやすい靭帯です。急性の場合はまず装具治療や足部機能訓練等の保存療法を行います。しかし、捻挫に対して適切な治療がなされなかったり、捻挫を繰り返したりすることで、慢性の外側靭帯の機能不全に陥ることがあり、運動時の足関節の不安定感や疼痛、腫脹を生じます。その場合でも保存療法で改善する可能性が十分にありますが、保存治療を行っても痛みが残る場合には、外側靱帯の縫縮術(鏡視下・直視下)や再建術を行います。

足底腱膜炎

 足底腱膜とかかとの骨が付着する部位(付着部)には、強い牽引力と着地時の荷重による圧迫力の両方が加わることで、過大な負荷が集中します。そのため長時間の立ち仕事や歩行、体重増加、靴の不適合、スポーツ(ランニングやジャンプなど)による使いすぎが主な原因で腱・靭帯付着部症がおこります。
 治療としては消炎鎮痛薬の外用剤や経口剤を使用し、アキレス腱や足底腱膜のストレッチなどの保存療法をまず行います。足の形に合った靴を履くようにしたり、足底挿板(靴の中敷き)を装着したりします。時にステロイドの局所注射を行うこともありますが、かかとの脂肪組織の萎縮や、腱膜の断裂をまねく恐れがあり注意が必要です。難治性となれば体外衝撃波を使用することがあります。重症の場合は、足底腱膜の付着部を切り離す手術や、かかとの骨棘を切除する方法があります。

アキレス腱炎/アキレス腱付着部炎

 アキレス腱炎はふくらはぎの筋肉とかかとの骨(踵骨=しょうこつ)を結ぶ太くて丈夫な腱であるアキレス腱に炎症を起こした状態です。運動をしているときや座っていて歩き始めるときに、ふくらはぎからかかとのあたりにかけて痛みを感じることがあります。痛みだけでなく、アキレス腱を軽く触ると腫れていることがあります。一般にアキレス腱炎は剣道や陸上などのスポーツ選手に多くみられます。走るときなどにふくらはぎの筋肉が足の裏を踏み返す動きに関係しています。安静にして過度な運動を中止し、アイシング、消炎鎮痛薬の外用剤や経口剤の使用などの保存治療を行ないます。アキレス腱の過度な緊張を緩めるため、足底挿板(靴の中敷き)を使用することもあります。
 アキレス腱と踵骨の付着部周辺に痛みがあらわれる場合はアキレス腱付着部炎と言われます。アキレス腱と踵骨が付着している部位(付着部)に強い牽引力が加わります。また、その少し上では腱と骨が接しているため、互いに圧迫力を受けています。これらの力が繰り返し加わることで、付着部に変性が生じ、痛みを起こします。発症のきっかけは、かかとの骨や足の形の異常、仕事やスポーツなどによる使いすぎ、筋肉の柔軟性低下、不適切な靴などです。保存療法としては消炎鎮痛薬の外用剤や経口剤を使用し、アキレス腱ストレッチを行います。足の形に合った靴を履くようにしたり、足底挿板(靴の中敷き)を装着したりします。難治性となれば体外衝撃波を使用することも考慮します。重症の場合は、変性した腱や踵骨の突出部を切除する手術を行います。

外反母趾

 外反母趾とは、足の親指(母趾)が、第2趾の方へ曲がって変形している足の変形です。母趾の付け根の内側の痛みを生じる場合が多く、バニオンと呼ばれる胼胝(たこ)を形成することもあります。親指の症状だけでなく、第2趾や第3趾の足底痛や足の甲の痛みを生じることもあります。靴の調整や足底挿板(靴の中敷き)による治療が基本となりますが、変形の矯正のためには母趾の中足骨を骨切りする手術が必要になる場合があります。
 外反母趾の手術法は100種類以上あるといわれていますが、当院では個々の患者さんの変形に応じて数種類の手術を組み合わせて対応しています。

術前
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術後
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抜釘後
抜釘後
術前
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術後
術後
抜釘後
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変形性足関節症

 変形性足関節症とは、足関節の表面に覆われている軟骨がすり減ってしまう疾患です。骨折や繰り返す捻挫など外傷によって起こることが多いと言われています。歩行時に軟骨のすり減っている部分に疼痛が生じます。病態が進行すると、外観上も足の変形が認められます。
 変形の程度が軽い場合は、足底挿板や鎮痛薬内服による治療を行います。痛みが強い場合や変形が強い場合は、手術を行います。個々の患者さんの変形の重症度、活動性、年齢等を総合的に考慮し、脛骨低位骨切り術や人工足関節置換術、関節固定術(鏡視下・直視下)を行います。

脛骨低位骨切り術
脛骨低位骨切り術

鏡視下固定術

術前
術前
術後
術後
術前
術前
術後
術後

人工足関節置換術

術前
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術後
術前
術前
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術後
術後